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Felix Treadwell

フェリックス・トレッドウェル
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Felix Treadwell(フェリックス・トレッドウェル)は、ロンドンを拠点に活動するイギリス人アーティスト。インスタグラムでも知名度を増しつつあるFelixの作品は、単調なフィードで異彩を放つ突飛な作風で見る者の目を奪う。Felixの何とも印象深い作品は一見楽天的に見えるが、そこにはFelixが抱く現代社会への強い関心や現代の若者を翻弄するアイデンティティークライシスに対する思いが込められている。自身のオンラインでの経験から、Felixはインターネット上における若者の繊細さにとりわけ強い興味を示してきた。
キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツ(ロンドン芸術大学)での修士課程を修了したFelixは、数ヶ月間におよぶ京都での交換留学を契機にロイヤル・カレッジ・オブ・アートへ進学。今回のインタビューでは、Felixが大学院での経験から得た作品作りに対する自信や、アーティストステートメントの詳細、今後のプロジェクトについて話してくれた。

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はじめに、現在の活動の内容を教えていただけますか。

アーティストだと思います。メインはペインティングですが、彫刻や3D作品のように自分らしさが出せて自分の成長に繋がるものであれば、どのようなものでも制作します。その他には、音楽も作ります。自分のアート作品の視覚言語を音楽作品のコンセプトに用いることができるのは嬉しいですね。1 ですが、僕にとってはペインティングを通して視覚言語を作ることのほうが重要です。昨年キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツ(ロンドン芸術大学)2 を卒業して、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート3で修士課程を始めてから一年が経ちますが、とても充実した日々を過ごしています。

アートには昔から興味があったのでしょうか。

子供の頃から、漫画を描いたり、物語を作ったり、キャラクターを作り上げておかしなシナリオに登場させたりして毎日遊んでいました。幼い時から放課後は毎晩テレビを見て、4ゲームもしていました。5 このように大量のメディアや広告にさらされた思い出に着想を得た作品は、特にはじめのころには多く作りました。絵を描いたり、オンラインの世界でゲームをすることで、現実から逃げようとしていたんです。毎日の学校生活から自分を切り取る喜びが、自然と作品のためのアイデアや物語へと変化していきました。それで、不器用なコミック・ストリップを描いたり、学校の教科書を落書きで埋め尽くすようになったんです。

学校では、何よりも美術のクラスが好きでした。はじめはグラフィックデザインをしようと思ったのですが、僕の作品作りはもっと不規則でせっかちなんです。早い段階で、僕のスタイルはもっと自律的な作品作りに向いていると気づきました。それで学士課程のときに、以前から考えていた手法やシナリオを作品作りに活かせることが分かりました。それまでの僕の常識を覆し、単なるペンティングを超えるアイデアでした。

社会における若者

ペインティングを通して成し遂げたいことはありますか?

現代社会というもの、そして現代社会が幼児期や思春期といった人々に与える影響について、より多くの人に考えていただきたい。服従するということ、繊細であるということの意味に疑問を投じたいです。善悪の判断を下そうというわけではなく、僕の意見を押し付けるわけでもありません。十代の若者が陥りかねない状況や問題を提議しようという試みです。

僕が作る物語は、かなりオープンなものにしたいと思います。ペインティングの前後で起きているシーンについては、誰も把握していません。描かれているキャラクターは誰にでもなりえるということを知っていただきたい。性別は決まっていなくて、誰がモデルになっていてもおかしくありません。絵の前に立つ人にも、その子供にもなりえるのです。過去への郷愁を誘うためにユーモラスな要素を加えることもありますし、懐かしさと面白さの間に暗闇を広げるのも、自分の考えが強調されて興味深く感じます。

こうしたテーマに注目する理由は?

中学校でアートを勉強し始めたとき、最初は技術的なことばかりで退屈に感じましたが、段々とJohn Wesley(ジョン・ウェスレー)、6 タカノ綾、7 KAWS(カウズ)8 といったコンテンポラリーアーティストを知るようになっていきました。そのおかげで、アートが何にでもなりうることを学びました。それから自分の周辺世界を疑うことを知り、幼少期に思いついたアイデアを活かすようになりました。インターネット世代に育ったことを述べたのも、現代の人々が同じような経験をしていて、その内容が僕が子供だった10年前よりも濃厚かもしれないという点で、重要に思えたからです。

実態を持っていながら、現実世界のものとは異なる、私たちのオンラインアイデンティティというコンセプトは、ペインティングで模索するのに素晴らしい題材です。

先ほどおっしゃっていた繊細な一面というのも、あなたが子供へのインターネットの影響について頻繁に触れる理由なのでしょうか。

ええ、もちろん。ある意味個人的な経験から来ています。オンラインで不思議な体験をしたことがあります。僕にはオンラインで知り合った友達が何人かいますが、一度も会ったことない人を信頼して親しくなれば、危険なことも起こりかねません。9 オンラインゲームをしている人が、どこの誰でもおかしくありません。感受性が強くうぶな子供であれば、普段であれば尊敬の対象にならない人のことも、こうした環境では慕ってしまうかもしれません。そして、それが問題につながる可能性もあります。実態を持っていながら、現実世界のものとは異なる、私たちのオンラインアイデンティティというコンセプトは、ペインティングで模索するのに素晴らしい題材です。 10

それが現代社会が人々に与える影響という、先ほど話題に上がった大枠のテーマにつながるのでしょうか。

すべてそこに繋がると思います。僕が新たにペインティングを描き始めるときは、常に自分が言いたいことを鮮明に思い浮かべています。僕の作品を見た人に、「この作家って嘘っぽいし、いいかげんに筆を動かして遊んでるだけじゃないか」と思われるのではないかと心配になります。物語を作る時は、内容が露骨にならないように強く意識しています。僕が懸念している事柄について描こうとしているのか、単純に愉快な部分を強調して絵を描きながらも、行き当たりばったりではないのか、それとも筋など通っていないのか、見る人が彼らの壁を取り去って考えてくれることを期待しています。自分の作品のコンセプトを理解し、信じながらも、それをむき出しにしないことが大切だと思います。そうすることで、視覚的に解釈する余地を残すことができます。もし明白に伝えたいのであれば、僕なら文字に起こします。僕の文章は、かなり酷いものですけどね(笑)

どのようにして、ペインティングに描く内容を思いつくのですか。

たいていは携帯で撮影した写真を数週間さかのぼって、ネタになりそうなオブジェクトや題材を見つけます。それをじっくりと観察して、しばらくするとiPadでその形を描きながら、そのオブジェクトとキャラクターの間に物語が成り立つかを考えます。おもしろくなりそうであれば、iPadで描いた下絵を本格的に描き、いろいろなサイズを試してから、ペインティングにして、シナリオを展開させていきます。手を進めれば進めるほど、元のコンセプトが発展しますが、失敗は恐れず、何が起きても受け入れます。制作の過程を楽しむこと、障害に備えておくことが重要になります。全体に満足がいくまで、同じ作業を繰り返します。

今後近いうちに、作品のなかで別のテーマやアイデアを扱う可能性はあると思いますか。

今のところは、自分自身だけでなくたくさんの人々が自分との関連性を見出すことのできる、現代社会と時事問題について語りたいと思っていますが、将来のことはわかりません。コンテンポラリー・ペインティングの制作には壁が立ちはだかりますが、今はその壁に挑戦することで刺激を受けます。

近頃、自分が見せたいものがより明確になってきているように思えます。はじめのうちは、純粋に技術面に集中するせいで、作品が曖昧になることもあるでしょう。しかし、アートの領域に足を踏み入れてしまえば、心からコンセプトに集中して、それを自分の能力に転換させられるはずです。

メディアとしてのペインティング

ペインティングがお気に入りのメディアだとおっしゃっていましたが、自然にそう思うようになったのでしょうか。

学校ではさまざまのメディアを試しましたし、ブライトンでのファウンデーションコース11と学士課程ではアニメーション12と彫刻にも挑戦しましたが、そのなかで僕のアイデアをうまく捉えられたのがペインティングだったのだと思います。他のどのメディアよりも、ペインティングを用いたほうが、僕が人に見せたり、伝えたいことをうまく表現できたのです、他のメディアでは僕が表現したいことが人にうまく伝わらず、憤りを感じていました。

近い将来については、いかがでしょうか。

彫刻、木工細工、3Dでの制作にも興味があります。可能性はあると思います。13 材料や設備が整っていれば、こうしたメディアを通したアイデア作りにも挑戦するかもしれません。実はロイヤル・カレッジ・オブ・アートに材料と設備があるのですが。だけど、こうしたメディアを使うからといって、理由もなく立体作品を作ることはないと思います。今のところ、自分のアイデアを構成したり試すにはペインティングが一番合っていると思います。

制作過程において実技面で気を使うのはどのような点ですか。

僕にとって、色使いは非常に重要な部分です。14 それぞれの色が異なる反応を引き起こすので、色の組み合わせには気を使わなくてはなりません。最近では、パステルの微妙な色を使用することで、キャラクターとオブジェクトがやんわりと混ざり合うようにしています。配色を駆使すれば、作品が空間に馴染んで、見る人すべてを魅了することができます。 Laura Owens(ローラ・オーウェンズ)15 や Katherine Bernhardt(キャサリン・バーナード)16 の作品を見てみてください。

僕たちの行動や社会生活の速度は毎年加速していて、それをペインティングで表現するのが困難に思えることもあります。

ペインティングのように制作に時間がかかるメディアは、時事問題を取り上げるのに不利にはならないのでしょうか。

時間がかかることもあります。だけど僕の場合は、新しい技術と筆以外の道具のおかげで早く仕上げられるようになったので、そこまで不便でもありません。僕たちの行動や社会生活の速度は毎年加速していて、それをペインティングで表現するのが困難に思えることもあります。17アクリルペイントとエアブラシを用いた手法を試して、いつの間にか現代社会に追いつくスピードで制作する方法を発見していました。

日本文化の影響

あなたのスタイルには、最近の日本文化を参考にしているように見受けられる部分があります。日本に関心を持ったきっかけは?

90年代の日本文化の流入があったために、この年代の人であれば誰でも日本文化に愛着を持っているはずです。僕は、ゲーム、テレビ、おもちゃを通して毎日日本文化に触れていました。十代でタカノ綾 18 や奈良美智19 などのアーティストを知るまでは、日本文化が影響が僕の作品に出ることはありませんでした。日本のアートを通して気づいたのが、日本では全てのオブジェクトやキャラクターに人格が与えられていることでした。全てが可愛らしいキャラクターだったら、子供はその存在を余計に気にかけるし、関わりを持とうとするかもしれません。イギリスでは、徐々にそうした現象が起きているように思えます。たとえゴミ箱でも顔がついていれば、目線を集めるでしょう。こうしたアイデアをアートに適応させるのがおもしろいです。

京都精華大学で過ごした期間がありましたね。20 滞在した時期と感想を教えてください。

2013年、大学2年生のときに1年滞在しました。日本人アーティストと働き、彼らから学ぶ貴重な機会でした。日本画21 クラスなどで、それまで知らなかった手法を学びました。言語の壁にぶつかったり、アートチューターから新しいペインティング方を学んだり、はじめのうちは順応するのが大変でした。例えば、日本画では全ての筆跡が一定の動きで描かれていたり、決まった場所に配置されなければならず、それを守るのが下手でした。コンセプトやアイデアに基盤を置くイギリスの教育とは異なり、1年を通して新しい技術とスタイルを学ぶ新鮮な経験になりました。22 それ以来、日本は僕にとって、作品に取り組み、友達と出会った大切な場所となりました。みなさんにも日本での留学を強くおすすめします。

日本過ごした影響は、制作活動にも出ていますか。

日本の人たちが僕の作品を受け入れてくれたような気がして、自分のスタイルに自信を持てるようになったと思います。「オーマイガット、なんでこんなことするの?」という反応ではなく、「すごくおもしろい!どうして日本の人を参考にしているように見えるんだろう」というようなポジティブな反応を頻繁にいただきました。日本での経験からは、自分の作品に自信を持ち、自らが信じるアイデアを恥ずかしがらなくていい、というこを学びました。 23

作品を見る人に、あなたに影響を与えたものを直接見破られてしまったら問題でしょうか。

それは問題ありません。3年前までは、今よりも直接的な引用を用いていました。今は、もう少し微妙な使い方をしたいと思っています。誰かが引用元を言い当てても大丈夫ですが、「これとこれから引用したんだね」と言われることは僕の意図ではありません。引用元が明らかになることで僕の物語とコンセプトが分かりやすくなれば全く問題ありません。今では誰しもが作品で他の人のを引用を用いていますが、意図と意味さえあればいいと思います。見る人も馬鹿ではないので、単に流行に乗るための引用はすぐにバレてしまいます。

将来のこと

将来は、何をしたいですか。

広く言えば、もっとリスクを冒しながら作品作りに挑みたいです。視野を広げれば、物語やキャラクターを別の方法で描くことができます。しばらくペイントブラシを使っていますが、別の道具を試すのも良いのかもしれません。最近、キャラクターを作るためにエアブラシを購入しました。自分の制作方法が常に発達していくことを望みます。周囲の環境や自分が興味を持っている文化に従って、キャラクターは徐々に変わっていくと思います。

  1. Felix Treadwellは、Shinamo Mokiというミュージックグループで活動している。メンバーは、Auryn Tate Waring(オリン・テイト・ウェアリング)、Sasha Vergolini(サーシャ・ヴァーゴリーニ)、そしてFelixの3名。
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    主にアニメ、アジアン・フォーク、ゲーム音楽の影響が強いインストエレクトロニカを演奏。EPのカバーアートはメンバー以外のアーティストが手がけているが、Shinamo Mokiのビジュアル・アイデンティティは彼らのインスタグラムアカウントからも分かるようにFelixが担当している。Shinamo Mokiによる「Reasoning」はこちらから視聴可能。
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  2. キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツは、6校あるロンドン芸術大学のカレッジのうちの1つ。サウス・ロンドン、Peckham Rye(ペッカム・ライ)駅とDenmark Hill(デンマーク・ヒル)駅の間に校舎がある。Us Blah + Me Blahがインタビューした、アーティストでイラストレーターのCharlotte Mei(シャーロット・メイ)もキャンバーウェルの出身。
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  3. RCAとして広く親しまれるロイヤル・カレッジ・オブ・アートは、セントラル・ロンドンのSouth Kensington(サウル・ケンジントン)とBattersea(バタシー)に校舎を持ち、アートとデザインの修士課程プログラムを提供する大学。
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    2015年と2016年のQS ワールド・ユニバーシティ・ランキング調べでは、アートとデザインで世界最高峰の施設のひとつとされる。RCAの著名な有名人には、David Hockney(デイヴィッド・ホックニー)、Tracey Emin(トレーシー・エミン)、インダストリアルデザイナーのJames Dyson(ジェームズ・ダイソン)、映画監督のTony Scott(トニー・スコット)、Ridley Scott(リドリー・スコット)兄弟、そしてUs Blah + Me Blahにとって特に興味深いサウンドアーティンストでデザイナーのスズキ・ユリがいる。以下のビデオは、RCAによるペインティング制作の軌跡を追った1999年BBC製作のドキュメンタリー番組。
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  4. さらにFelixは、「僕のお気に入りの番組は、『Mona the Vampire(モナ・ザ・ヴァンパイア)』、『ラグラッツ』、『Oakie Doke(オーキー・ドーキー)』、『ヨーホー!アホイ!』、『ZZZap!(ザップ!)』、『ムーミン』、『デジモン』、『ヘイ・アーノルド!』です」と話してくれた。「We Heart」によるインタビューで、FelixはJohn Wesley(ジョン・ウェスレー)やLaylah Ali(レイラ・アリ)といったアメリカ人画家への強い関心と、アメリカのアニメを見て育ったことで彼らから受けた影響について説明している。
  5. Felixは、『ポケモンスナップ』、『ポケモンスタジアム』、『バイオハザード』シリーズ、『スーパーマリオ3 ワリオランド』、『トゥームライダー』、『パラッパラッパー』、『エイジ オブ エンパイア』シリーズ、『ワールド オブ クラフト』、『ポピュラス』を挙げている。
  6. John Wesleyは、1928年生まれのアメリカ出身のアーティスト。ポップアートに分類されることの多い、印象的なペインティングで知られる。以下、1993制作の「The Liar(ザ・ライアー)」。
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  7. タカノ綾は、1976年生まれの日本人アーティスト、イラストレーター、漫画家。タカノはタカノも属するカイカイキキというアーティストマネジメントグループの設立者でもある。
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    村上隆によって始められたスーパーフラットと称されるポストモダン・アートムーブメントに貢献している。タカノは、社会での女性ヒロインの役割がいかに変化していくかを予想することに強い関心を抱いている。以下は、Hélène Sevaux(ヘレン・サヴォー)がタカノの作品について映したショートドキュメンタリー。
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  8. KAWSは、本名Brian Donnelly(ブライアン・ドネリー)、1974年生まれのアメリカ人アーティスト。ペインティング作品や玩具のような巨大彫刻作品で広く知られている。ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツにて、ファインアートとイラストレーションの学士号を取得。
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    グラフィティアーティストに転向し、現在ではコレクターにも珍重される。バス停や電話ボックスの広告に描いた作品を作り出す前には、フリーランスアニメーターとしてディズニーの制作に携わっていた。最近では、2014年にPharrel Williams(ファレル・ウィリアムズ)と香水の「GIRL」、2016年にはユニクロのTシャツやアクセサリーのラインででコラボレーションを行っている。以下ビデオは、彼の制作に関するショートドキュメンタリー。
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  9. 日経新聞によると、2015年には、1,652人の未成年者が刑事犯罪被害を受けており、その大半をインターネットを利用した女学生の売春行為が占めている。この数字は過去最高の記録となった。
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  10. Felixによるオンライン・アイデンティティのテーマは、Amalia Ulman(アマリア・ウルマン)の作風を彷彿とさせる。アルゼンチン生まれのスペイン人アーティストである彼女は、2014年4月〜9月の4ヶ月間に彼女がインスタグラム上で発表し、「Instgram Girl(インスタグラム・ガール)」というオンラインキャラクターを生み出したパフォーマンスアート作品でその名を世に広めた。
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    巧妙に構成されたストーリーテリングのなかで、彼女はキャラクターが新しい都市へ引っ越し、長年の彼氏と別れ、ドラッグに手を出し、整形し、彼女の行動について謝罪し、新しい彼氏と出会う、といった過程を描いている。プロジェクト終了前までに、彼女は10万フォロワーを獲得。ウルマンは、「「本物」の行動、交流、文脈のためにデザインされたプラットフォームにフィクションを持ち込むことが目的だった」と、Ulmanは雑誌『Kaleidoscope(カレイドスコープ)』で述べている。彼女の意図は、親しみ深い典型的人物やキャラクターの登場によって、オーディエンスがいかに嘘を鵜呑みにしてしまうかを暴くことであった。彼女のパフォーマンスは、2016年にロンドンにあるホワイトチャペルギャラリーテート・モダン、2会場の展覧会で発表され、ソーシャルメディアとジェンダー・ステレオタイプの巧みな操作が広い注目を浴びた。出典:BBC
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  11. Felixは、アートとデザインのファウンデーション・ディプロマをCity College Brighton & Hove(シティカレッジ・ブライトン&ホーブ)で取得している。
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  12. アート作品とは別だが、FelixとAuryn Tate Waringがディレクションを担当したShinamo Mokiによる楽曲「Umi」のミュージックビデオはこちら。
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  13. 2015年、Felixは普段とは作風の異なるミクストメディア作品「Actual Deflating Head」(以下画像参照)を発表。
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  14. アメリカ人アーティスト、Josef Albert(ジョセフ・アルバート)による色の研究についてぜひお読みいただきたい。なかでも1963年出版の『Interaction of Color』が素晴らしい。歴史に残る名著のため、iOSアプリまで開発されている。ダウンロードはこちらから。
  15. Laura Owens(ローラ・オーウェンス)は、1970年生まれのアメリカ人画家で、現在ロサンゼルスを拠点に活動。
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    大判を使用し、異なる技術、メディア、モチーフを重ね合わせ、伝統的なペインティングの技法と実験的な技法を織り交ぜることで広く知られている。2015年にウィーンのギャラリーSecession(シーセッション)での発表のために制作した作品は、貴重な例だ。
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    背景には、デジタル編集により今日のニュースと広告を掲載させた第二次世界大戦時発行のロサンゼルスタイムズの紙面が用いられており、そこには筆跡が残されている。彼女は、複数の技術を用いることで時間軸を不明確なものにする。以下のビデオでは、2013年にロサンゼルスのOoga Booga (オーガ・ブーガ)にて展示された作品についてOwensが説明。
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  16. Katherine Bernhardtは、トイレットペーパー、ドリトス、タバコといったそこらじゅうに溢れる消費者製品や日用品を描いた「パターン・ペインティングズ」という作品で知られるニューヨークのアーティスト。
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    以下のビデオでは、Katherineの制作手順や彼女が2016年の展覧会『Product Recall: New Pattern Paintings(プロダクト・リコール:ニュー・パターン・ペインティングズ)』で発表したペインティング作品の意図について本人が解説。出典:Art Space
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  17. 日々スピード感を増す21世紀の生活様式によって、伝統的なペインティング技法に課題が課せられるなか、インターネットをメディアとして用いる新進アーティストが主に「インターネット・アート」と称されるムーブメントから登場している。その一例に、ニューヨークを拠点に活動するベルギー人アーティストTom Galle(トム・ガル)が挙げられる。
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    自身をインターネットアーティストと称する彼はの作品は、現代のオンラインテクノロジーにおける集団行動に呼応している。彼の最新作でArt404のMoises Sanabria(モイセス・サナブリア)とJohn Yuyi(ジョン・ユイ)とのコラボレーション作品である「Macbook Selfie(マックブックセルフィー)」は、セルフィーカルチャーについて言及する作品だ。
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  18. 注釈7を参照。
  19. 奈良美智は1959年生まれで、現在東京を拠点に活動しているアーティスト。
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    アイコニックで可愛らしいキャラクターで広い層に浸透している奈良美智のペインティング作品には、Felixの作品と通ずる部分が見受けられる。彼の活動に興味がある方には、2007制作のドキュメンタリー「NARA:奈良美智との旅の記録」をご覧いただきたい。
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  20. 京都精華大学は、その名にもある通り京都にキャンパスを構える私立大学。1968年の創立以来、漫画とアニメコースが人気を博している。
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  21. 日本画は、日本の伝統的な芸術様式、技法、素材にのっとって制作される絵画のこと。千年以上の歴史から成る伝統が基であるにも関わらず、「日本画」という言葉自体は明治時代の日本帝国時代に西洋画との差別化を図るために作られたものである。
  22. 東アジアの教育システムは、コンセプトよりも技術の重きを置いているため、日本、韓国、中国で芸術教育を受けるには高い競争が強いられる。雑誌『Colors(カラーズ)』87号の「Looking at Art」では、実技による受験が課せられる中国でのシステムを特集しており、極めて完成度の高い綿密なバウハウス様式が今日においても中国の芸術学校に欠かせない方式とされていることが述べられている。こうしたシステムのために中国の高校生たちは、通例6ヶ月間の集中合宿に参加し、終日暗記に取り組んだり、花粉を集める蜂から家具倉庫と過去数年間の技術課題を練習するという。
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  23. 以前Us Blah + Me Blahのインタビューに協力してくれたアーティスト兼イラストレータのCharlotte Mei(シャーロット・メイ)も、日本での経験が作品を通して感情を表現することの正当性を示したくれた・・・なぜなら、日本で「見た作品は、すべてのイメージにキャラクターが描かれており、作品を通した感情表現がとても豊富でした。こうした手法には以前から興味はありましたが、西洋では認められていなかったので、「すごい、そんなことしてもいいんだ。そんな風に関係性を持たせても問題がないんだ。何に顔を描いてもいいんだ。というように感じ」とFelixと同様の意見を述べている。彼らが共通点を持っているのは、偶然ではないかもしれない。なぜなら、ふたりともキャンバーウェル・カレッジ・オブ・アートから京都精華大学に留学しているからだ。
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This interview was posted on 10 December 2016.

Interview (Us Blah) & Footnotes (Me Blah):
Tsukasa Tanimoto

Copy-editing (English):
Kate Reiners

Translation (English to Japanese):
Marie Sasago