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横山純

Jun Yokoyama
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横山純のポートフォリオからは、彼のフォトグラファーとしての経歴の短さは到底想像つかないだろう。日本で生まれ育ち、現在東京に暮らす彼は、ロンドンで過ごした交換留学生時代に写真を撮り始めたという。当時、暇を持て余し、焦燥に駆られていた彼は、自らが熱中していたグライム・ミュージックに関わる手段として、カメラを選んだ。「カメラはグライム・シーンへのパスポートのようなものだった」と言う文化学/社会学出身の横山。今回のインタビューでは、グライムに対する彼の思い、自身のバックグランドとは一見何の繋がりもない環境にごくわずかな期間で溶け込んでいった由縁、揺るぎない信念を持つ者や政治的改革に挑む者たちを記録することへの情熱、そして彼が作品に込める、純粋な美的感覚を遥かに超えたメッセージについて話してくれた。

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まずは自己紹介をしていただけますか?

出身は三重県1ですが、今は東京に住んでいて、一応フォトグラファーみたいな感じでやってます。写真を始めたのはちょうど1年ぐらい前です。嘘をつきながらカメラマンのキャリアを伸ばそうとしてるという感じですね。半分ぐらい詐欺師ですよね、そういう意味では。撮れるかどうかは分からないのに、撮れますといって、仕事をしに行くっていう感じなので。

これまでにどのような経歴を歩んできたのでしょうか。

2002年から2010年まで、大学学部生と大学院生をしました。2010年にユニクロ2に就職しましたが、1年でやめました。2011年に地震があって、3その年はボランティアや脱原発のデモ4をずっとしていました。2012年に博士課程に入りました。2年間、脱原発の運動などをしながら、大学院生をしていて、2014年からロンドンに留学を1年しました。52015年に帰ってきて、2016年から東京で働いています。

フォトグラファーデビュー

写真を始めたのはロンドンで、それも比較的最近のことだそうですね。ロンドンのどんなところに触発されたのでしょうか。

実はカメラ自体はロンドンに来る前からちゃんとしたデジタル一眼レフ6が欲しかったんです。それはどうしてかというと、私が脱原発のデモ7を日本でしていた時に、いつも写真や動画を撮りに来てくれる人達がいて、その中の一人に一個下の秋山くん8という人がいたんです。私が主催するデモに、彼が動画と写真を撮りに来てくれて仲良くなりました。その時に彼のカメラを見せてもらったりしているうちに結構カメラというモノに興味が湧いていったんですが、一眼レフカメラを買わずにロンドンに行きました。ロンドンに行く前はRICOH GR9を買いました。

渡英半年後、ロンドンの冬でめちゃくちゃ鬱っぽかったんです。6ヶ月ぐらいでそこまで英語は上手にならないですし、留学して半年が経って、みんなはテスト勉強していたんですけど、私は特にすることがなかったんです。「やばい!何にもする事がないし、せっかくロンドンに来ているのに、グライムのシーンに入り込めている訳でもないし、俺なんにも残してないな、やばい・・・」ってすごく鬱っぽくなっていて、「どうにかしないといけないな」と思っていました。その時にちょうど、Double Clapperz(ダブル・クラッパーズ)のSinta10がマドリッドで留学していて、ロンドンのアーティストたちにDJとして誘われて、イベントに出るって事になったので、1週間位うちに泊まったんです。彼の勇姿を見に行った時に、写真を撮ろうと思ってて、コンパクトカメラを持っていたんですけど、上手に写真なんか撮れなかったんです。前から色んなイベントに行って、カメラ持っていく度に、暗すぎて撮れない事は分かっていた事なので、悔しくはなかったんですが、そこで初めて「カメラ買うしかないか」と思いました。

なにがきっかけで、突然写真に注目するようになったのですか。

あんまり特別な理由はなかったんですが、今からDJしたって、ロンドンにはDJ上手い人なんていっぱいいるから、どうしようもない。英語でジャーナリストが書くような文章は書けないですし、動画もちょっとなんか難しいし、「ラップ始めるか?」ともなったんですけど、4ヶ月後に日本に帰る訳で、その間にいかに深くどんだけいけるかという事を考えた時に、カメラしかなかったんです。多分、「今もう一回同じ事を選択しろ」と言われても、きっとカメラを選びますね。その結果、その時に日本にちょっとだけ帰ってきたりとかしてたので、ヤフオクで色々調べて、暗い所でも撮れるように一番高感度が強いソニーのカメラ 11を買いました。結局4月に買ったのかな?5月の頭位にロンドンに持って帰って、POKO12のイベントで初めてちゃんと撮りました。

横山が写す題材

作品のなかでは、ロンドンのグライムシーンを映し出したものが最も有名ですが、他にはどのようなものを撮影してきたのでしょうか。

実はグライムだけの写真ではなく、一応、テーマとしてはグライムやストリートポリティックスみたいなものを結構撮りに行っています。ストリートポリティックスっていうのはデモとかですね。例えば、レイシスト団体のEDL(イングランド防衛同盟)13はほとんどデモをできないのですが、凄くたまにウォルザムストウにデモがあって、それのカウンタープロテストに行って、ドキュメンタリー写真を撮ったりしていました。

BBCが制作した『パレードへようこそ』(原題: Pride)14という映画に出演している人たちと元々話しになった炭鉱労働者のストライキをしていたゲイやレスビアンの人たちの集まりも撮っていました。1985年ぐらいの時に起きたストライクなので、今はみんな50歳とかですが、それを元にしたドキュメンタリー映画が公開されてて、出演者と実際の人たちが一緒にロンドンのプライド・パレードを歩いて、私はオフィシャルなカメラマンみたいな感じで写真を撮っていました。

後はイースト・ロンドンのストラットフォードからもうちょっと奥に、エセックス・シニアリーグ15というプレミアリーグから数えて9番目のリーグで活動しているクラプトンFC16というサッカーチームがあるんです。そのチームのサポーターの写真を撮らせてもらったりもしていました。アンチホモフォビア、アンチレイシズム、アンチネオリベラリズムみたいな感じの凄く左翼なチームなんです。そういうサッカーのファンのグループはグラスゴーとザンクトパウリにもあって、17それのロンドンバージョンですね。凄く弱いチームなんですが、今年で何年目かで、今は結構お客さんが来ていたりしていて、盛り上がってるんです。そんな感じで写真を撮っていまして、グライムは夜なんで、昼間はそういった感じの写真を撮っていました。

アートは人の考え方を変えることが出来ると思っています。5年間、政治的な活動をしてきて、メッセージやロジックだけで、違う考え方、イデオロギーや政治的思想を変えるというのはほとんど不可能であることが分かりました。

これまでに触れてきた題材は、どれも革新的な変化を起こそうとしている人にまつわるもので、特に政治的なものが多いですね。被写体のように、写真を通して達成したい政治的な目標をお持ちなのでしょうか。18

達成すべき政治的な目標を確固としたアイディアとして持っているわけではないです。しかし、近代的な日々の中にある抑圧や暴力といった政治的な諸力のなかで、人々がどう状況を打開していく美しさやヴァイブスを捉えようとしています。その意味ではとても政治的です。政治的状況に介入しようと、そして人々の力というものを開いていくために、クリエイティビティを使いたいと思っています。もしそうでなければ、クリエイティブな仕事ではないと思っています。

アートは人の考え方を変えることが出来ると思っています。5年間、政治的な活動をしてきて、19メッセージやロジックだけで、違う考え方、イデオロギーや政治的思想を変えるというのはほとんど不可能であることが分かりました。美やクールさというのは主観的なものであり、それをコントロールしたり押し付けることはできません。しかし、仕掛けなければ、得るものもありません。近代の都市生活の中では、サブカルチャーは無数にあり、人々は何がクールで、何を見るべきか、もしくは消費すべきかを探しています。サブカルチャーの世界に入っていくというのは、私たちがどのような政治的/経済的/文化的状況の中にいるかということを知るための素晴らしいチャンスです。陣地戦を戦う文化的な戦士の一人のようなイメージを持っています。お気づきの人もいるかもしれませんが、この考え方はStuart Hall(スチュアート・ホール)20の文化理論に基づいたものです。

グライム・フォトグラフィー

グライムのファン層は広がりつつありますが、特に日本ではグライムが音楽ジャンルとして注目を浴びたことはありませんね。どのような経由でグライム・シーンに到達したのですか。

2011年あたりにtofubeatsさん21のマネージャーのCE$さん22がミックスCDを出していて、その当時はサブカルチャーみたいな感じでグライムを好きな人が多かったですね。今のグライムのブームとは少し違う感じです。結構ハードコアな人たちの間で「グライムは熱いサブカルチャーだ」と盛り上がっていました。その中で私もグライムに興味を持ちました。そこから時間が経ってから、自分がダブステップとかDJしていた時に、ダブステップと思って聴いてたのがグライムだった事を後から知ったとかはありますね。その当時は体系的にグライムの情報というのはなかったので、結構「後から」が多いですね。

グライムに興味を持ち始めた決め手は?

2011年位から改めてグライムを聴き始めました。海外の海賊ラジオ23がストリームで聴けたり、録音がSoundcloud(サウンドクラウド)やMixcloud(ミックスクラウド)など、インターネットのプラットフォームにアーカイブ化され始めていた頃です。それまでは掲示板フォーラムを漁らないといけないので、すこし大変でした。ちょうどその時にツイッターとか始めてたりとかしていたので、情報を探すのが簡単になっていました。海賊ラジオというところで、アナログのラジオを回せば、ラジカセとかで聴けてましたけれど、2011年位からはインターネット上にも聴けるようになり、誰もがインターネットで録音した物をネット上にアップロードできる事になりました。情報がまとまってわかるようになったのです。

アーティストの事を知れるようになったりだとか、音源をみつけやすくなったりとかして、
2012年に五輪が始まるちょうど前に私はロンドンに行きました。その時に、Butterz(バターズ)というElijah & Skilliam(イライジャ&スキリアム)がやっているレーベル24とHardrive(ハードドライブ)というTerror Danjah(テラー・デンジャ)によるジョイントイベントの大きなイベントにいきました。初めてグライムをちゃんと聴き始めてから行ったイベントだったので、物凄く楽しかったですね。そこから本格的に興味を持ちはじめました。みんな熱狂的でありましたし、アーティストの人も全力でやっていて、オーディエンスの方からのエネルギーも感じて、楽しいなと思いました。日本にはそういう事をできる場所がほとんどなかったので。

日本の新人フォトグラファーの目には、グライム・シーンは驚異的に映るかもしれません。どのようにして、ごく僅かの期間でそれほどまでディープにシーンへと溶け込んでいったのですか。

最初の方は嘘です。「日本からのジャーナリストなんで」という感じで喋っていました。色んな人に写真を撮らせてくれるように、間にいるような人にお願いしたりしていました。その流れで、ずっと名古屋でイベントをしているGOODWEATHER(グッドウェザー)25のE.L.I.さんという方に色んな人に紹介してもらいました。写真を撮って、ツイッターにアップしてもらって、クレジットしてくれた写真がどんどんリツイートされていって、「やばい、誰だこのsickなフォトグラファーは?」と話題になって、徐々に有名になっていった感じですかね。こういった流れで、毎日「イベントがあるから、写真撮ってきてくれ」みたいなような連絡が来るようになり、行けるようになりました。

そもそも写真撮りたい訳でやっている訳ではないのです。「グライム界全然入り込めてない、やばい!」と思って、初めたので。

横山さんが写す被写体はとても自然体に感じるのですが、意図的にそう演出しているのでしょうか。

ライブの写真とか、ファッションのエディトリアルのような決めポーズみたいな感じ以外の写真を撮らせてくれるようになったというか、私が勝手に撮っていただけですが。そういうところにずっといたので。そういう写真が多いですね。ぼくもそういう写真が好きですし。しょうもない話をしているとか、ウィード回していたりとか、そういう場面もずっと一緒にいたかったんです。何言っているかはよくわからなかったですし、内容もよくわらかなかったですが、よく一緒にたまってましたね。「え、なんで撮りに来るようなイベントじゃないのに、なんで撮りに来るの?」みたいな事はよくありました。イベントもそうですけど、インターネットラジオ局にいっていたのがカメラマンでは私位しかいなかったですね。そういった事をやり続ける中、信頼関係が深まったかもしれないですね。
カメラがパスポートみたいな物と言った通り、26そもそも写真撮りたい訳でやっている訳ではないのです。「グライム界全然入り込めてない、やばい!」と思って、初めたので。写真家ではないので、写真を撮るという「体」でやっていたことなだけですね。

フォトグラファーとしての活動を通して、グライムシーンを社会学的文脈から理解できるようになったと思いますか。

理解はそりゃ行く前に比べると、100倍ぐらい理解はしたと思いますが、それがどうだっていう事は別に言える感じではないですね。グライムがあるから社会が変わるとかではなくて、やっている方はジムに通ってる人たちとか、みんなでボルダリングしているとか、そういうサークルみたいな感じみたいでした。みんなで集まって、喋って、色んなニュースや出来事とかについて喋って、帰るみたいな感じでした。自分がフィルドワーク的に関わって上で感じたのが、音楽で社会を変えるとか、そういうどうこうというのはもちろん大事ですし、面白いですし、熱中できます。けど、その反面、グライムという音楽は例えば「教会に行く」というような日常的な行為にみえました。そういう意味でグライムアーティストにとってのグライムの社会性みたいな意味は新たな発見としてありました。

日本のオンライン・カルチャーマガジン『FNMNL』では、ライターとして活躍されていますね。27記事からは日本におけるUKグライムシーンを推奨する印象が感じられますが、意図的にそうしているのでしょうか。

エバンジェリストみたいな活動はFNMNLというメディアの方でやっています。だんだんグライムっていうジャンルに対して興味がなくなっている訳ではないんですが、日本でもグライムはかなり流行ってきてることは感じているので、28勝手にやっていいんじゃないと思いながら、あんまり気持ちは燃えていないです。以前の感じじゃなくなっていますね。そういうところからはちょっと距離を置きたいかなとは思っています。あんまり意味もないかなと思うので。自分にとってグライムとはプロモートしなければいけない音楽ジャンルでも産業でもなく、あくまでも「サブカルチャー」として、自分たちが「グライム」と思うことをやり続けることだと思うので。紋切り型ですが「生き方」や「アティチュード」と言うとわかりやすいと思いますが。

将来のこと

今後は、どのような題材やトピックを撮影したいと思いますか。

今はなんかカメラとか写真とかに関して、特別に東京で撮りたいテーマがあるかと言われると、正直言って見付けられていないです。むしろ今までの写真をどうちゃんと説明していくか、どうやって伝えていくかとかということを結構考えていたりとかします。29

  1. 日本を構成する47都道府県のうち、本州の関西地方に位置する県のひとつ。県旗は下の通り。
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    三重県の県庁所在地は津市であるが、多くの観光客は神道において最も神聖で重要な場所のひとつに数えられ、高い人気を誇る伊勢神宮を訪れるという。近頃では、2016年5月に第42回先進国首脳会議が開催されたことでメディアの注目を集めた。
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  2. ユニクロは、日本の機能性と高品質を兼ね備えた商品を低価格で提供する日本のファッションブランド。ユニクロを特徴づける商品のひとつに、特殊な糸構造により心地よい着心地だけでなく高度の保温性を兼ね備えたヒートテックがある。まだ着たことがないという方は、どうぞお試しあれ!
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  3. 横山が言及しているのは、2011年に発生し、津波を引き起こした結果、15,894人の死者、6,152人の負傷者、2,562人の行方不明者を出した東北地方太平洋沖地震のことだろう。この津波が原因となり起きた原発事故のために、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故後と同様に複数の避難区域が福島に指定された。VICEによる以下のビデオでは、自らの意思で避難区域に残留した男性の話が紹介されている。
  4. 日本が地震と津波、その結果引き起こされた原発事故に見舞われた2011年以降、反原発運動は大きな盛り上がりを見せた。日本で政治に関わる大規模な抗議活動が行われることは珍しいが、2012年7月には7万5千人もの人々が東京に集まっており、このイベントは東京で開催された最大規模の抗議活動として記録されている。
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  5. 横山は、ロンドン滞在時にロンドン大学東洋アフリカ学院に通っていた。
  6. 横山が述べる一眼レフカメラとは、このようなもの。
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  7. 横山は、「THINK FUKUSHIMA+WALK」と「TwitNoNukes」というグループを中心に反原発活動に深く関わっていた。
  8. 秋山による記録映像はYouTubeで公開されている。
  9. 「RICOH GR」は、機械・電子機器のメーカーであるリコーが製造するコンパクトデジタルカメラ。その前身であり、90年代のストリートフォトグラファーの人気を博した35ミリフィルムカメラ、「RICOH GR1」をご存知のかたもいるかもしれない。
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  10. Double Clapperzは、主にグライムとベース・ミュージックの領域でプロデューサー、DJとして活動するSintaとUKDによるユニット。日本のグライム・シーンは比較的小規模で国産のグライム・アーティストは希少であることから、その多くは国内よりも海外で名を広めており、ロンドンのネット・ラジオ曲NTSRadar Radioなど、インターナショナルなゲストセットに招かれて来たほか、2016年中盤に東京で開催されたBoiler Roomにも参加している。
  11. 厳密に言えば、横山が述べているカメラとは「SONY α7S」のこと。高ISO感度ISO409600を実現した製品である。
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  12. POKOは、遠山啓一によって2015年に開始されたクラブナイトシリーズ。Toyamaはロンドンに滞在し、ロンドン大学東洋アフリカ学院で修士過程を行っていたときに、Maltine Records(マルチネレコーズ)がロンドンで初めて開催した海外イベントを共同企画し、同イベントに合わせてPOKOをローンチしている。以降、POKOイベントでは、横山が撮影を担当したロンドンのProject Mooncircle(プロジェクト・ムーンサークル)とのコラボレーション企画、オンラインコミュニティーであるJACKとMaltine Recordsによる唯一無二のライブなどが開催されてきた。
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  13. EDL(English Defence League)とはイングランド防衛同盟の略で、イギリスにおけるイスラム教とシャリーアの排除を目標とする極右政治団体のこと。
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    その反イスラム運動で掲げられる過激思想は、ときおり世間の注目を集めて来た。BBCニュースを抜粋した以下の動画では、EDLの危険性が示される一方でメンバーの愚直さが露わになっている。2:55〜3:12のに映し出される映像は笑いを誘うが、同時に恐ろしくもある。
  14. 『パレードへようこそ』(原題: Pride)は、2014年公開のイギリス映画。1984年にイギリスの炭鉱労働者が起こしたストライキに影響を受けた家族のために支援金を募り、支援同盟「Lesbians and Gays Support the Miners」(レズビアンズ・アンド・ゲイ・サポート・ザ・マイナーズ)を設立したレズビアン・ゲイの活動家グループを描き出している。
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    レズビアン・ゲイグループと公的に結びつきを持つことを懸念した英国炭鉱労働者組合はグループの援助を受けることに消極的であったため、グループはウェールズの小さな炭鉱集落・オンスルインに直接支援金を寄付し、想定しがたい二つのコミュニティーの同盟を可能とした。
  15. イギリスにおけるサッカーは国民文化と緊密な関係を持ちながら発展してきた。世界数多のサッカークラブを有するイギリスでは4万を超えるクラブが運営されている。そのリーグ制度はなんと22段階にも分かれており、下位2リーグだけでも51チームが所属している。一方で、日本のリーグは6段階のみである。
  16. クラプトンFCは、1878に設立されたイースト・ロンドンのサッカークラブ。
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    横山が述べるように、Clapton Ultras(クラプトン・ウルトラズ)という、サッカーコミュニティーでは珍しくない極右思想に根付した差別政治への抗議を示すグループから支持を得ている。ガーディアンによる以下のビデオ(英語)では、彼らの思想に焦点が当てられている。
  17. 横山が指しているのは、まさに左翼イデオロギーを主張していることで知られているセルティックFCとFCザンクトパウリのサポーターたちのこと。両クラブは長年にわたり友好関係を保ってきた。これらのクラブは、スポーツ界に頻出する右翼思想に反対しているが、本来はあくまでも急進派であるため、セルティックFCのサポーターグループであるGreen Brigade(グリーン・ブリゲード)は、2013年にスタジアムへの損傷をはじめとする騒動を引き起こしたことから、同年12月にはクラブ自体に解散を余儀なくされた。以下は、FCザンクトパウリの左翼サポーターの信条と決して耐えることのないサッカーの資本主義的側面に対する困惑をVICEがとらえたショートドキュメンタリー(英語)。
  18. 2016年5月に東京で初の個展を行った横山は、その写真作品の裏側にある思考過程を詳しく説明するテキストをこちらのPDFで公開している。
  19. 2011年から2013年にかけて、横山は日本の反原発運動に献身的に関わっていた。XX番目の脚注へ。
  20. Stuart Hall(1932-2014)は、ジャマイカの文化理論家、社会学者、活動家。主にイギリスで活動を行った。
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    1960年に隔月学術誌『New Left Review』(ニュー・レフト・レビュー)を創刊したことで広く知られている。横山が言及している理論は、Hallによるコミュニケーションの記号化(エンコーディング)/記号の解読(デコーディング)モデルであり、メディア言語は個人の文化的背景に基づき、それぞれ異なって解釈されるというものである。バーミンガム・スクール・オブ・カルチュラル・スタディーズでHallの指導を受けたDick Hebdige(ディック・ヘブディッチ)は、このモデルを受けて著名な書籍『サブカルチャー―スタイルの意味するもの』(原題:Subculture: The Meaning of Style)を執筆し、次世代の者たちがその多種多様なアイデンティティーを示す独自のスタイルや習慣を形成していくなかで、支配的イデオロギーに挑戦しているのだと説いた。文化界では、イギリスの映画監督John Akomfrah(ジョン・アコムフラー)がHallの影響力の大きさを称賛しており、Hallの人生を描いた2013年公開の最新作『The Stuart Hall Project(原題)』を含む2作でHallへの敬意を示している。映画の予告編は下記にて公開中。
  21. tofubeats(1990年11月26日生まれ)は、日本のプロデューサー、歌手、DJ。
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    日本の音楽業界では、アーティストに対してレーベルが大きな権限を握る傾向があるが、tofubeatsは例外的にインターネットの力を借りることで自ら着々と成功を掴み取ったアーティストのひとり。リリースしたアルバムなど自身の音楽を、主に彼が長く付き合ってきたネットレーベルのMaltine Recordsを通して若い頃から無料でオンライン配信してきた。その新たなパートナーシップによってtofubeatsはメインストリームアーティストとのコラボレーションを果たしており、彼の新アルバムに『POSITIVE』収録された同名の楽曲(以下より視聴可能)では、E-girlsのメンバー、Dream Amiと共演。BBC Radio1Xtraのラジオ番組「Diplo & Friends」のためにtofubeatsが制作したミックスも最高だ。
  22. CE$は、tofubeatsの現マネージャー。2008年、東京のWIRED MUSIC FESTIVALのために新しいアーティストを探していたときに、tofubeatsのビデオをYouTubeで見て連絡を取ったという。以来、二人はSOYCEEというデュオを組んでいる。彼らの曲「420」はこちらから視聴可能。参考:日経トレンディ
  23. ところで、「People Just Do Nothing(原題)」は、ウェスト・ロンドン、ブレントフォードからガレージとドラムンベースを放送する海賊ラジオ局、Kurupt FM(クラプトFM)を運営する仲間たちにまつわるBBCのコメディーモキュメンタリー。
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    当初はYouTubeビデオとして公開されていた同番組だが、2012年にBBCが制作したパイロット版が反響を呼び、テレビ番組化が実現。Us Blah + Me Blah編集部のみならず、『ガーディアン』紙も番組を評価しているようだ。そんなシチュエーション・コメディのショートビデオとレビューが気になる方は、以下をご覧あれ。
  24. Butterzは、ロンドンでグライム・ミュージックを取り扱うインディペンデント・レコードレーベル。
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    2007年にグラムユニットの Elijah & Skilliam(イライジャ&スキリアム)によるブログを土台として2010年にレーベルとして設立。現在では、 Terror Danjah(テラー・デンジャー)、Swindle(スウィンドル)、Royal-T(ロイヤル・ティー)、Dane Bradshaw(デーン・ブラッドショー)が共同運営を行っている。以下では、『FACT』紙によるショートドキュメンタリー「Grime Through The Eyes of Butterz」を公開。
  25. E.L.I.が運営するGOODWEATHER(グッドウェザー)は、名古屋で音楽イベントを開催するコレクティブ。
  26. 横山は、2015年11月に『FACT』紙のインタビューでこう述べている。原文はこちらから。
  27. FNMNL』は東京から発信されている、音楽、ファッション、文化に関するオンラインマガジン。横山は、同マガジンにおいてインタビュアーだけでなくフォトグラファー、ビデオグラファーとして活躍している。
  28. Boiler Roomで撮影された、2016年10月にリリースされた以下のビデオでは、日本におけるグライムの立ち位置と高まりを見せるその人気が紹介されている。先出の脚注で紹介したButterzの設立者、Elijah & SkilliamとDouble ClapperzのSintaが映されている。
  29. 横山は、2016年5月1日〜8日に開催した彼の個展『London, Beyond Hate – LGSM, Grime, Antifa』で自身の写真の表現法を模索してきた。

This interview was posted on 24 January 2017 and was originally conducted in Japanese.

Interview (Us Blah) & Footnotes (Me Blah):
Tsukasa Tanimoto

Translation (Japanese to English):
Tsukasa Tanimoto

Copy-editing (English):
Kate Reiners

Proofreading (Japanese):
Marie Sasago

Translation (English to Japanese):
Marie Sasago

Special Thanks to Ririko Sano and Marina Kobayashi.